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※写真は2008年の対談時のものです。
宇多丸 | たとえば、去年の前田さんとかって、どうですか?だってなんか… |
秋元 | いや、前田は、たぶん一番ミーティングしていると思います。 |
宇多丸 | あ、そうなんですか。それでもあの感じなのかなぁ。 |
秋元 | そうだと思います。あの、なんだろうなぁ、性格もあるじゃないですか。 |
宇多丸 | 彼女のね。まあ一種ストイックな。こうやって入っていくタイプ。 |
秋元 | ストイックなね。だから卒業の時も当日までほんとに、本当に僕も分からなかった。
当日の朝、最後にメールをしたんですよ僕は。で、まだ辞めない方がいいんじゃないかと。 もうちょっと自分のドラマとか映画とか代表作を作って、あるいはコマーシャルだって、もっとちゃんとした、ね、いくつかやってからのほうがいいんじゃないかっていうのを |
宇多丸 | 秋元さん的にはそうだったんですか? |
秋元 | そのとおりです。でも、最後は前田に任せる、と。
前田が、やっぱり多分自分が(先に)行かなきゃなんないっていう、意外にあの子ってなんかこう、そういう、背負ってるんですよね、あんなヘラヘラしてる感じで。 でも、AKBで私が行かないと次が行かないっていうのがあってその思いと揺れてたと思うんですよ、怖いっていうのと。で、彼女は僕も本当に分かんなかったです、埼玉スーパーアリーナ。 |
宇多丸 | こりゃ、ね、ブブカチームと我々は言っているけど、俺らが勝手に見て、いや、完璧なタイミングだぞって言って… |
秋元 | じゃなくて 笑 |
宇多丸 | 違うんですか |
秋元 | あのね、だからね、結局、やっぱり事実はおもしろいよね。 |
宇多丸 | 心した事より |
秋元 | そうそう。だから、たとえばよくね、あの、総選挙のコメントとか秋元さんが書いてんですか?って。書いてたらあんなリアルでね、言わないよって。あれも、もし俺が書いてあれだけ言えたらあいつらはみんな名女優だと。
もちろんでも、その、たとえばその前の段階でどこかで話したこういうような事を覚えてて、そういうような事を言おうとしたら、そういうのはあると思うんですよ。だけど、基本的には無い。 つまり、前田のも埼玉スーパーアリーナの関係者席で見てて、「前田、あれ、これ言うのかな」って。言うとしたら「会いたかった」が最後の曲の「会いたかった」の前、つまりみんな各プロダクションに移籍して、これから頑張ろうねって言います。で、高橋みなみがまとめます。で「会いたかった」にいきます。ここのタイミングしかないからね、ということだけは言ってあったんです。 で、あ、これはどうなんだろうなって思って、つまり、その状況は僕しか分からない、僕と前田だけの話だから。で、そしたら前田がなんか、胸に手を当てた時に、これは言っちゃうなと。 |
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宇多丸 | あ、そんな感じなんですね。 |
秋元 | だから、もうあの時にあの時点で、大人の事情が飛ぶ訳じゃないですか。つまり「あ、これは電通に(連絡)」まず契約問題… |
宇多丸 | あ、やっぱりそうなんだ。つまりいろんなCMとか、そういう… |
秋元 | そりゃそうですよね。だって本来なら。いままでのアイドルだったらまずそれを全部整理して、お話してじゃ無いですか。 |
宇多丸 | 僕らは、前日で、移籍で、たとえば松井珠理奈さんとか移籍でAKBとかって、それって、要は前田さんがいなくなる事を前提とした、次期センターっていう布石の… |
秋元 | いや、全然。ま、それがやっぱりAKBの面白いところですよね。 |
宇多丸 | マジック起きちゃったと。 |
秋元 | いやぁ、AKBが面白いって言うのは、ようするに、そういうふうにみんなが深読みしてくれるから。だって、じゃんけん大会で島崎が優勝した事が八百長だって言われてるところが面白いなぁって思う。 |
宇多丸 | だって、麻里子様の次に島崎さんって、そんな上手い話あるかいってね、思っちゃうけど、でも、やっぱり秋元さんがツイている所ですね。 |
秋元 | ん〜、でも面白かったですよね。 |
宇多丸 | なんか、トップダウン式ではアイドルは面白くないって言う考え方はありますか秋元さんのなかに。 |
秋元 | あのね、一番はポップコーンだと思うんですよ。ポップコーンをフライパンでやって、くるくるやるでしょ?どれがはじけるかなんてわかんないって。 |
宇多丸 | どの豆がくるか。 |
秋元 | で、僕はプロデューサーとして一番苦手なのが誰が売れるかって言うのが一番分からないんですよ。 |
宇多丸 | おお、これはむちゃくちゃ意外な。 |
秋元 | これはね、やっぱりね、プロダクションの、たとえば路上でスカウトするマネージャーとか、ああいう人たちにはかなわないですよ。僕は分かんないですよ。
ただ、分かんないんだけど、この人を売ってくださいって言われてからは多分どうやったら一番この人を輝かせるかなぁってのは出来ると思う。 |
宇多丸 | たとえば、そういうの伺うとね、前田敦子さんが絶対にセンターだって、これはだってどういう確信なんですか? |
秋元 | それは、変な言い方なんだけど、一番センターが嫌な感じだから、つまり、一番何があれかというと、たとえば、オーディションをいろんな、AKBに限らず、オーディションを受けるじゃないですか。審査員をやるでしょ。その時に足がきれいな子は足を強調するんですよ。で、そうすると、この子を磨いても、きっと足しかないのかなって見えちゃう。
でも、多くのオーディションで合格するのってなんかこう、学校終わって全力疾走で走ってきた、制服姿で髪ももうボサボサで、汗かいて拭いてる子が、笑顔がいいね、っていうのを審査員みんなぱっと見る。つまりそれはなにかっていうと、伸びしろなんだよね。 |
宇多丸 | まあ、もちろん原石って言う… |
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秋元 | だから前田敦子って言うのは、なんで、一番はじめにソロを与えた時に、そのころはまだ手探りでしたけど、ソロを与えた時になんで私がソロを歌わなきゃいけないのかって号泣したときに、ま、この子はAKB的なスター性があるなと思った。
これはだから、AKB的なスター性ですよ。 |
宇多丸 | その、要は、この、足りない分をのばしていく面白さの部分で? |
秋元 | そうそうそう。それと、この子がスターになっていくのを、みんな可視化してると。
だからけして昔のスター誕生的なスターではないんですよ。昔のスタ誕のような、松田聖子なのか、誰なのかっていう、山口百恵的な |
宇多丸 | 出来上がっているものを見せるというものではない |
秋元 | ではないですね。 |
宇多丸 | やっぱり可視化の流れであり、なんていうんですかね、ちゃっぱり、ドキュメンタリー化ですよね。 |
秋元 | あの、なんかね、そこがガチ |
宇多丸 | でも、化けるかどうか分からないじゃないですか。今の前田さんみたら、こりゃぁ誰がどう見てもセンターだって思うけど、爆はやっぱ最初の映像見ると、この時点でいけるっておもわないでしょうって。 |
秋元 | ん〜、でも、よくしたもんで、僕が、前田敦子なんだ、前田がセンターなんだっていうのと、同じように今度はみんなが、ファンが圧倒的にアンチ前田あがあらわれ、それで、その子達がもう、大島優子を圧倒的に推すわけですよ。 で、ここで、二大政党が出来るわけですね。 で、同じように僕がSKEで珠理奈を推せば、松井玲奈が民意でがーと上がる訳ですよ。で、今で言えばNMBで言えば渡辺美由紀と山本かも知んないし、っていうふうに、必ずそうなっていくんですよ。意図しなくても。 だからたぶん、僕が誰を推してもイヤなんだと思う。プロデューサーがゴリ推しっていわれるし。 |
宇多丸 | トップダウンであるものに対して、いや民意はこうだという動きが必ずあると |
秋元 | だからそれはAKBらしいおもしろさ、つまりたとえばSKEでも去年は「枯れ葉のステーション」が一位になったりする訳じゃないですか。ほれ、みたことかと。
あるいは二回目に大島優子が一位になったりするわけじゃないですか。そのことによって、どうだ、秋元の判断は違うだろと、つまり俺たちでも変えられると、方針は。というのがたぶんAKBの面白さだと思うんですよね。 |
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